BTCブレインテックトークvol.3

ブレインテック・コンソーシアム(以下、BTC)が主催する「BTC ブレインテックトーク」では、ブレインテック業界を牽引するトッププレイヤーを国内外からお呼びし、最先端のプロダクト開発、研究、市場動向、課題など、幅広くカバーしていきます。

第三回目となる今回は株式会社オリィ研究所が運営するカフェ『分身ロボットカフェ DAWN ver.β』とコラボレーションしまして、分身ロボットのパイロットである永廣柾人氏をお迎えします。

『分身ロボットカフェ DAWN ver.β』は2021年6月に東京・日本橋にオープンしたカフェです。外出困難者である従業員が分身ロボット『OriHime』&『OriHime-D』を遠隔操作しサービスを提供している新しいカフェで、テクノロジーによって、人々の新しい社会参加の形の実現を目指しています。

『分身ロボットカフェ DAWN ver.β』について詳しくはこちら

目次

  • アーカイブ映像
  • 永廣柾人氏 基調講演
  • 登壇者3人によるQ&A
  • 参加者とアンケート結果

【イベント概要】

開催日時: 2022年5月13日(金) 19:00〜20:30
オンライン開催:視聴URLはイベント前にご案内いたします。
参加費用:無料
参加方法:Peatixページより、参加登録ください。
btc-talk003.peatix.com
主催:ブレインテック・コンソーシアム

【プログラム】(90分)

19:00~20:10 基調講演(分身ロボットパイロット 永廣 柾人 氏)
20:10~20:15 休憩
20:15~20:30 Q&A

【登壇者】

永廣 柾人 氏
1993年10月生まれ、東京都在住。1歳2ヶ月で神経細胞の伝達不全によって筋が萎縮する難病『脊髄性筋萎縮症』と診断。2018年から分身ロボットカフェDAWNのOriHimeパイロットとして勤務。そこで出会った仲間たちとゲームを開発し、2019年夏季コミックマーケットにて完売。2020年には英語版開発のためのクラウドファンディングを実施し、世界的なゲーム配信プラットフォームSteamにてダウンロード配信中!2021年現在は料理向けロボットアーム開発のプログラムを担当。

藤井 直敬 氏
ブレインテック・コンソーシアム 代表理事
医学博士/脳科学者 ハコスコ 代表取締役
デジタルハリウッド大学大学院 卓越教授
東北大学 特任教授

【スポンサー】

アーカイブ映像

当日のイベントを見逃した方は、YouTubeにてアーカイブをご覧いただけます。

永廣柾人氏 基調講演

発症後の生活と直面した困難

脊髄性筋萎縮症(SMA)の発症後は、喉に人工呼吸器をつけ、ベッドでの生活を送っています。
学生時代は都立の学校で過ごし、口元や指先、視線入力によるPC操作を習得。イラストや3Dモデル制作などの課外活動も行っていました。
卒業後は障害者雇用枠での仕事を探しますが、当時はリモートワークが普及しておらず、就職先探しに困難しました。

人生の転機(OriHimeとの出会い)

ご自身に適した働き先が見つからない中、PCで遠隔操作可能な分身ロボット(OriHimeおよびOriHime-D)と出会います。OriHimeは、距離や身体的問題などによって現地に行けない人の分身となり、その場にいる人とコミュニケーションができるロボットです。
そしてロボットが接客を行うお店「分身ロボットカフェ」のオープンに際し、ロボットを操縦するパイロットとして就職します。

活動範囲の広がり

職場で出会った仲間とともに、様々な社外活動をスタート。「オンラインボッチャ」のチーム結成や、OriHimeとの出会いをモチーフにしたSF恋愛アドベンチャーゲームを開発/販売を行っています(現在、STEAMにて全世界向けにダウンロード販売中)。
また、分身ロボットカフェ以外にも、OriHimeに関する複数のプロジェクトに関わっています。

永廣柾人氏の考える福祉、その実現に向けた取り組み

永廣柾人氏は、福祉を「障害者と健常者分け隔てなく、すべての人の幸せを考えること」とし、その実現に向けた活動も行なっています。
現在は、SMAの少女の夢を叶えるため、遠隔操作で料理ができるロボットアームを開発しています。

登壇者3人によるQ&A

後半の時間では、当日ゲスト参加の凸版印刷株式会社 本庄元氏を交え、登壇者3人によるディスカッション、視聴者からのQ&Aを行いました。

OriHimeの新機能開発

OriHimeは常時バージョンアップが行われており、分身ロボットカフェでは、OriHimeの最新技術を体験できる場ともなっています。
今後、永廣柾人氏が期待する機能として、5G活用によるリアルタイム性向上や集音機能の向上が挙げられました。

脳波デバイスへの期待

SMAの症状が進行して体の自由が失われていく将来、脳波で操作するデバイスはその解決策となりえます。永廣柾人氏からは、脳波含む生体信号入力デバイスへの期待と頭の中で思ったことが全て表現されてしまうと恥ずかしいという率直な意見も語っていただきました

障害者の立場で社会に伝えたいメッセージ

最後に、障害者の立場として伝えたいメッセージとして、障害者としてではなく、一個人として社会との関係性を深めていきたいという思い、そのためにも、障害者と健常者の垣根をなくして相互理解をすることが大事であることとおっしゃっています。

レポート記載の他にも興味深い内容がございました。是非アーカイブでご覧ください。

参加者とアンケート結果

当日は、普段からBTCの活動に興味を持っていただいている方や医療福祉関係者の方など、100名以上の皆様にご参加いただきました。

イベントのアンケート結果は下記の通りです。イベント全体では、95%が「満足した」という結果となりました。
各セッションごとの満足度については、基調講演、パネルディスカッションともに回答者全員が「有意義だった」と回答しました。
さらに、イベント参加後の感想として、回答者全員が「他のパイロットの話も聞いてみたい」、「オリィ研究所の取組みについてもっと知りたい」と回答しました。
BTCについては、回答者全員が「ブレインテックについてもっと知りたい」と回答し、95%が「今後のイベントに参加したい」と回答しました。

今後も毎月のイベントが予定されています。
またのご参加をお待ちしております。